株式会社エスエイウェアハウスは2021年2月、里薬品貿易株式会社に社名変更いたしました。

海外渡航制限の中で、やるべきこと

海外へ行けない前提で、海外事業を作るためには

新型コロナウィルスの蔓延もひと段落し、今後はウィルス自体ではなく、ウィルスによって失われた消費と、縮小した事業をどうやって回復させるかの戦いになると思われます。これは、海外で事業をしている私にとっても同様の状況となっていますが、大きく異なる点としては、元々日本と海外を行ったり来たりすることでビジネスをしてきたので、今後も続く海外渡航制限により、立ち行かなくなってしまいました。その中で、今やるべきことは何なのでしょうか。

そもそも海外渡航することに何の意味があるのか

海外渡航はなぜ必要なのか

この先世界はバーチャル(インターネット上の仮想空間)化が進み、実際に行かなくても海外を体験できる世の中になるはずです。それも面白いなと思いつつ、初めてどこかの国の空港に辿りついた時に肌で感じるその国独特の湿気や香りは、バーチャルでは表現できないだろうとも思っています。

例えば、同じ東南アジアでもシンガポールのチャンギ空港、バンコクのスワンナプーム空港、ホーチミンのタンソンニャット空港では、少しづつ気温も湿度も異なりますし、香りはチャンギが蘭(らん)、スワンナプームがジャスミン、タンソンニャットが蓮(はす)の香りがするように感じます。そしてその香りが脳を刺激し、ワクワクになり、遊びや仕事へのやる気を奮い立たせてくれるのです。

空港を出ると街の景色が現れます。これはバーチャルでも十分体験可能かもしれません。そして、ホテルや事務所へチェックインしたり、もしくはレストランへ直行します。最近は日本各地で東南アジアの料理が一通り食べられますので、これも代用は可能です。ただし、いくら現地と同じレシピをもってしても、素材の味が異なるため全く同じものは作れません。例えば、ベトナムフォーに使う鶏肉は、味の要ですが、日本の地鶏とベトナムの地鶏では味が異なるため、どれだけ良い鶏を使っても、現地の味にはならないのです。

食事を終えると商談が待っています。商談は現地人とすることもあれば、日本人を含めた現地在住の外国人であることも多いです。商談のセッティングは知り合い経由であることが多く、Eメールやチャットで紹介いただいた後に合う日を決めます。仲介してくれた知り合いとの関係性が深ければ、直接会食(ランチもしくはディナー)もあり得ますし、まずは会社訪問やカフェでの打ち合わせから、ということもあります。

どうしてわざわざ商談のために食事までするかというと、一つは確実なアポイントにするためです。特にディナーの予定となれば、レストランを決めて予約する必要があり、人数も正確に把握しなければなりません。家族が居れば夕飯はいらないと伝える必要もありますので、頭に確実にインプットされるのです。また、会議室での打ち合わせだと、1時間の時間を確保して、お互いその後に予定を入れますが、ランチなら最低2時間、ディナーなら最低3時間は確保しなければならないのです。

オンライミーティングが主流となった今では、14時からのオンラインミーティングの後、15時からオンラインミーティングが入っているということはザラだと思いますが、これでは1つ1つのミーティングを整理する暇もなく、初回アポイントとしては成り立たないと思っています。私は基本的に他人の時間を奪うというのは悪だと思っていますが、双方にとってビジネスのチャンスになるような時には相手にもしっかり時間を取ってもらう(自分も十分な時間を確保する)というのが大切だと考えています。

特に初めて会う外国人に対しては、日本人は「表敬訪問ばかりで、本気でビジネスしに来ていない」と思われがちなので、会食で印象付けて次に繋げなければならないのです。

まとめ
  • バーチャルでは、温度、香り、味を体感することが難しい
  • バーチャルでは、会食などの長い時間を確保して、印象付けることが難しい

とはいえ、今後も自由に渡航できるとは限らない

福岡空港から海外へ行くことはできるのか

SARS・MARSから10年、そして今回の新型コロナウィルス。今後はもう少し短いスパンでこのような疾病が訪れると想定しています。また今回渡航封鎖することが非常に有効であることが実証されたため、今後もいち早く渡航封鎖策が導入されることになるでしょう。

それでは、日本と海外を行ったり来たりすることでビジネスをしてきた人たちは、封鎖の間何をするべきなのでしょうか。いくつか案を考えてみたいと思います。

1. 国内回帰する

海外へ行くと異文化があり、その文化のギャップから様々なビジネスアイデアや機会が産まれるのは間違いないのですが、そもそも国内においても多様な文化や人は存在しており、日本国内にいる外国人と商談しても似たような効果を得られるかもしれません。同じ日本国内でも例えば名古屋や福岡へ行くと文化の違いを感じます。私がまだ行ったことのない山形や鹿児島にもきっと多様な文化があって、そこから何かを見つけられる可能性が高いです。

同じく私のようにベトナム在住であれば、ハノイ、ホーチミンに拘らず、まだ訪れたことのない地方へ行ってみるのも可能性が膨らむと思います。

2. デジタルコンテンツを発信する

自ら見つけに行く(アウトバウンド )が難しければ、誰かに見つけてもらう(インバウンド)施策も有効だと考えます。今私がこのブログを書いているのも施策の一つです。オンラインミーティングとなると、毎回イチから自分や自社の説明をしなければなりません。しかし、デジタルコンテンツ(ブログや動画)にしておけば非同期で多くの方に説明をすることができます。その中で、なにかアイデアを思いつかれた方から連絡をいただければ、アウトバウンドに匹敵する効果があるのではないでしょうか。

私のベトナム在住友人でビジネスパートナーでもあるaNkariちゃんはベトナムで3年間ベトナム語で発信をしていますが、これに影響されて私もこんなのを始めてみたいと思っています。

日本人でここまで違和感なくベトナム語を話す人は稀です。それもたったの3年で。ぜひご覧ください!

3. 冬眠する

とにかくお金を使わずに家で寝ておくというのも実は有効な戦略ではないかと思います。潤沢な利益や給与が保証されているなら別ですが、そうではないのなら固定費を落として1年でも2年でも耐え忍ぶというのもありです。難しい時にそれをバネにしてV字回復できるのは、一部の天才だけです。毎日食べて、暖かい風呂へ入って寝れるのであれば、それ以上何を望む必要があるでしょうか。下手に焦らず、経済全体が上向く時を待っても人生としては悪くないと思います。ただ、ずっと寝ているのも暇だと思うので、デジタルコンテンツを作って備えるのが最も良いかと思います。

※ちなみに本記事執筆は土曜日の午前中で、朝10時に起きて、そのままベッドの上で書いています。本日は外へ出る予定もありません。

2020年後半から2021年にかけての海外渡航封鎖予測

タイは引き続き渡航封鎖中

私の考えとしては、日本のようにある程度感染者は増えたものの、死亡者の少なかった国は比較的早く渡航封鎖解除をすると思っています。一方、ベトナムやニュージーランドなど封じ込めに成功し、いまだ感染率の低い地域は引き続き脅威であることは変わらないため、何らかの渡航封鎖を継続するのではないかと考えます。

ベトナムにおいては、2020年9月15日の時点でビジネス関係者に限り、14日間の隔離措置から5日間の隔離措置へ変わっています。これにより、ベトナムへ渡航する際の時間の確保および費用面で多少ハードルが下がったと言えます。しかし、これまで日本からのベトナム出張は平均2〜3泊、多い方で5泊でしたので、5日間の隔離はまだ厳しいです。個人的には2日ぐらいにまで短縮されると出張の予定も立てやすいと思います。

とりあえず年内、もしくは旧正月の終わる2月前半頃まではこの5日間隔離が継続し、その後2日またはワクチン等の状況により、空港でのPCR検査のみになる可能性もあるかと思います。

私にとっては5日間もやむおえないという感覚なのですが、どちらかというと気になるのは航空券の価格です。これだけ航空会社がダメージを受けている状況で、国際線の価格は高水準を維持するのではないかと想定しています。以前はベトナム航空の日本往復航空券は6万円〜7万円でしたが、これがいくらの設定になるのかが注目されます。なんとか10万円程度に収めて頂きたいところです。

東南アジア近隣でいうと、シンガポールはベトナム同様にビジネス関係者の受け入れから始まっています。タイ、フィリピン、ミャンマーは引き続き完全渡航封鎖が続いています。今回新型コロナウィルスで私が感じた東南アジアの印象は、バンコクやマニラなどの主要都市の無双感と相反して、意外にも保守的であったということです。周りの国の状況を伺いながらすごく慎重に判断をしてるように思えます。東南アジアを自由に行き来できるのは1年後ぐらいでしょうか。それまでデジタルコンテンツを溜め込んで備えておきたいと思います。